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ゲーム業界をマーケティング視点で読み解く

『モンスターハンター:ワールド』はなぜこんなに楽しいのか

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 最初に白状しておくと、モンハンシリーズを初めてプレイしている


 『モンスターハンターポータブル』でシリーズに火がついてからずっと「モンハンは携帯機のゲームだよなぁ」という先入観があり、“家庭用・PCゲーマーは手を出さんよ的な何か”で敬遠していた。


 ところが『モンスターハンターダブルクロス』のSwitch移植、からの新作がPS4で出るということで、向こうからこっちにすり寄って来たのでまんまと飛びついた


 筆者みたいな“潜在的モンハンプレイヤー”がたくさんいたらしく、国内パッケージ売上が3日でミリオン越え、海外パッケージ・ダウンロード売上が500万越えという異次元の数字をたたき出している。


www.famitsu.com


 そんで、まんまと飛びついた筆者のような初心者ヒヨッコハンターでも『モンスターハンター:ワールド』が楽しいのかというと、これがもう楽しくて仕方ない


 なぜこんなに楽しいのかというと「“一狩り行く”という行為にゲームデザインの全てが集中しているから」だと思う。
(ここから先、「モンハンシリーズは全部そうだよ!」っていう意見はとりあえず我慢してもらえるとありがたい)

 
 モンハンをやっていない人に説明すると、本作は「どでかいモンスターを狩りに行くこと」を目的としたゲームである。


 プレイヤーは1人のハンターとなって「新大陸」と呼ばれる未開の地に降り立つ。


 プレイヤーと同じように未開の地を調査する「調査団」の団員達が調査拠点アステラに集い、この拠点からモンスターが生息するフィールドへと出かけていく。

 
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調査拠点アステラは港町。


 街から街へ移動することはない。一つの拠点に根を生やし、ここにに住む人達と仲良くなりながら、「クエスト」と呼ばれる依頼をこなし、新大陸をどんどん開拓していく。


 拠点には「武器を加工してくれる場所」、「モンスターを研究している場所」、「植物を研究している場所」、「拠点を繁栄させるために資源を管理している場所」といった様々な機能がある。どれも冒険をするためには不可欠で、クエストから帰ってくるたびにこれらの場所を訪れることになる。


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拠点にある家はこれ。船の中にある。


 拠点でのプレイヤーの作業はこんな感じだ。


 フィールドで新たに発見したモンスター、新しく獲得してきた素材なんかを各部隊に報告する。例えばモンスターを研究している場所では、報告内容に応じてモンスターの生態情報がアップデートされていく。弱点を発見したり、モンスターから新たな素材を獲得できるようになったりする。


 次に消耗品をチェックする。ライフゲージの回復薬、体力の回復薬、毒消しなど、フィールドで頻繁に使うものを補充する。店で購入しても良いし、フィールドで採取した素材を調合して自分で作っても良い。調合すると店では買えない強力なアイテムも手に入る。


 獲得した素材で武器・防具を加工する。本作にはレベルシステムはないので、武器・防具の強さはハンターの強さに直結する。武器には特殊効果がついているものもあり、モンスターの属性にあわせて武器を選択すると戦いを有利に進めることができる。同じ武器・防具を加工して強くしていくので、愛着もわいてくる。


 忘れちゃいけないのが食事。メシを食べると狩りに出かけた時に様々な効果を得られるので、忘れずメシを食べる。


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ちなみにキャラデザのイメージは『ラスト・オブ・モヒカン』のダニエル・デイ・ルイス、のつもり


 ここまでやれば“次の一狩り”の準備が完了。受付嬢にお願いして、クエストを探す。


 一つのクエストには制限時間がある。プレイヤーとしては「寝る前にあと一狩りくらいできるかな」という時間配分ができる。


 制限時間・ターゲットを確認して、クエストを受け、“次の一狩り”に向かう。


 フィールドにはいくつかキャンプがあって、一番最初にどのキャンプからスタートするかを選択する。


 このキャンプに降り立つところがわくわくする。リアルでは全くキャンプとかしない性質だが、ゲームの中だと"戦闘前の儀式"みたいでテンションが上がってくる。


 キャンプを出ると、壮大なフィールドが広がっている。フィールドをただ歩いているだけでも楽しい。狂暴なモンスターのほかにも様々な生物が存在していて、変わった植物が生えていたり、虫が木をのぼっていたり、おとなしいモンスターが水場で休んでいたり。


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釣りもできる


 プレイヤーはハンターであるが、まずもって調査団の一員であり、「新大陸」を開拓する調査員である。だから、このフィールドを目いっぱい堪能し、色々なものを観察しなければならない。大型で狂暴なモンスターと戦うために必要な素材を探したり、地形を下調べしておくことも重要だ。


 フィールドを調べていると生物の痕跡が見つかる。この痕跡がターゲットのモンスターへの手がかりだ。フィールドを歩きまわり、痕跡をたどる。痕跡をたくさん見つけると、次の痕跡が見つけやすくなる。


 ずーっと痕跡を辿っていくと…。


 ついに…。


 ターゲットのモンスターが…。


 いたぁぁぁぁッッッッ!


 武器をそろえて、拠点を出て、長い道のりを歩いてきたのは全てこの時のため!


 そんでこの「人間が勝てるサイズちゃうやろ」みたいな大型モンスターに挑んでいくんであるッッッ!


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でかくてかたい(小並感)


 モンスターとの対決は超楽しい。「突進してきたら横に回避してしっぽ切り落としたら楽勝やろ」みたいな浅はかな考えで近接すると、しっぽ振り回されて半分体力を持っていかれたりする


 対モンスターでも観察が大事。スキができる行動パターンを見つけて、タイミングを見計らって、一撃を加える。高所からジャンプすれば、敵に飛び乗って攻撃するみたいなインディージョーンズばりのアクションもできる。


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 モンスターはなかなか死なない。ある程度ダメージを与えると、場所を移動する。なので、また痕跡を辿って、見つけ出して、とどめを刺さなければならない。


 「この作品すげぇな」と思ったのは、弱った大型モンスターが倒れているときに、小型のモンスターがそこに群がってきたこと。この世界ではモンスター同士が勝手にいがみ合って、勝手に戦い始めるのだが、小型モンスターが大型モンスターを捕食しにかかる、というところまで作りこんである。ここまで生態系を作りこんでいる制作陣に感動したのと同時に、リアルな光景にゾッとした


 攻撃を受ければライフゲージを回復し、体力が減ってきたらメシを食い、剣の切れ味が悪くなってきたら砥石で研ぎ。

 
 弱った大型モンスターにせまり…。


 倒れたモンスターに溜めの一撃を…食らわせるッッッ!


 からのとどめの一撃ッッッ!


 からのターゲット撃破ッッッ!


 このカタルシスッッッ!


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 受付嬢も思わずこの笑顔ッッ! 


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 とまあこんな感じで、狩りの準備→探索→戦闘→撃破、いうなれば狩りのPDCAをどんどん回していく。


 制限時間がついた一狩りの緊張感はたまらず、中毒性が半端ない。とにかく次の一狩り、次の一狩りとプレイが止まらなくなる。


 「そりゃあみんなモンハンはまるよな」とヒヨッコハンターは思うのである。


 そうそう、忘れちゃならんのが、プレイヤーに付き添ってくれるしゃべる猫オトモアイルー


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 語尾に「ニャ」をつけるとことか死ぬほどあざといんだが死ぬほどカワイイ


 モンスターとも一緒に戦ってくれるし、勝手に回復薬を持ってきてくれるし、めちゃめちゃ頼りになる良い子。

 
 …なんだけど、筆者がまだ戦闘慣れしておらず、主にモンスターのターゲットをずらすために利用させてもらっているから、戦闘のたびにフルボッコ状態になっている


 ごめんなぁ…もうちょっと強くなってお前を守ってやるからなぁ…それまで堪忍やでぇ…。