WEIRD

ゲーム業界をマーケティング視点で読み解く

お前の屍を越えていけ。「Life Goes On」は死体を積んで謎を解くパズルアクションゲーム

f:id:ktadaki:20180116203226j:plain


 アクションゲームやシューティングゲームの自機のストック数を「残機」と呼ぶようになったのはいつからだろう。マリオの横に「x 4」と書かれているのをみるにつけて、「ああ小さなおっさんがあと4体控えているんだな、あと4回死ねるんだな」と反射的に頭に浮かぶ。


 FPSのリスポーンはちょっと違う。


 格ゲーのコンティニューとも違う。


 残機は、死ぬ度に、針山や谷底やマグマの中に仲間の死体を思わせる。


 「Life Goes On」はそんな仲間の死体を見える化して、死体を利活用して、己が進んで天に召されることでステージを攻略するというゲームである。開発者曰く、“ゲームにおける死の再定義。”


 ゲーム内容はアクション+パズル。3等身の骨騎士キャラを動かして、ステージに配置された聖杯までたどり着くことが目的だ。

 
 ステージには様々なギミックが施されていて、単純なアクション操作だけではクリアできない。スイッチを押す順番を考えたり、物理法則にならってオブジェクトを動かすことで、段々とアルゴリズムを理解していく。解き方が分かった瞬間、脳からドーパミンがぶわーってなる。とにかく気持ちいい。


f:id:ktadaki:20180116205459p:plain


 他のゲームと違うのが、ギミックを解くには「仲間の死体」が必要なこと。


 キャラを動かして針山に飛び込む→針山に死体が積まれる→次のキャラを動かすときにはその死体が足場になって向こう岸に渡れるといった具合。

 
 死体の作り方は色々あって、燃える刺さる感電する大砲の弾になって飛ばされるなど、枚挙にいとまがない。(ピクミンかな?


 こんな風に、凍らせて溶鉱炉に放り込むという場面もある。


f:id:ktadaki:20180115232242g:plain


 プレイするとわかるのだが、色々な場面で「死にたいのに死ねない!」という場面に遭遇する。死んであの場所で(次のキャラに)リスポーンすれば先に進めるのに、針がない。火炎放射器も無い。感電できる場所は死体で既に埋まっている。「お願い! あたいを殺して!」と叫びたくなる。


 このゲーム、基本的に左右に動く+ジャンプという操作しかない。ステージをクリアする度に武器や防具を手に入れていくのだが、実用性は全くない。死体のビジュアルに華を添えるに過ぎない。


 その武器を活用すれば、もうちょっと生存確率が上がるんじゃない…? 嬉しそうに見せびらかしてるけど…。


 f:id:ktadaki:20180116211731p:plain


 ゲームを楽しくする大きな要素がユーモアだ。バックグラウンドストーリーが「身勝手な領主の命令で配下の騎士たちが嫌々聖杯を見つけに駆り出される」というもので、基本騎士たちは嫌々冒険に参加している。テンションも上がるわけもなし。こじゃれたジョークでも言わないとやってられんというわけ。


 日本語ローカライズした人も偉い。英語のユーモアをうまく日本語に直してくれている。ステージの名前もこんな感じ。


f:id:ktadaki:20180116213627p:plain


 1ステージはとても短い。ギミックを解ければ、1分そこそこでクリアできる。とはいえアップデートでステージ数が大幅に増え、やりこみ要素も加わって、結構長く遊べる。


 難易度もほどほどで、サクサク進む。一度始めたら、次から次へ、止まらなくなる。ゲームバランスも良くできている。


 職場やプライベート、人間関係で疲れ切ったあなたには、ひたすら針山に突っ込んで死体の山を築くという猟奇プレイもストレス発散法としてお勧めしたい。