ビジネスモデルキャンバスでアイデアを "見える化" する
アレックス・オスターワルダーとイヴ・ピニュールが提唱したビジネスモデルキャンバス(以下、BMC)は、ベンチャー企業から大企業まで、新しい事業を始めようとする全ての企業が使える便利なツールである。
オスターワルダーとピニュールの定義に習うと、ビジネスモデルとは"どのように価値を創造し、顧客に届けるかを論理的に記述したもの"である。BMCは、ビジネスモデルを一枚の絵として記述することで、アイデアを"見える化"し、整理し、他の人と共有しやすくする。
"見える化"というのは重要だ。
誰でも素晴らしいアイデアを持っている。頭の中のシミュレーションでは、あらゆることが上手くいき、沢山の人がサービスを使い、会社には大量の利益が舞い込んでくる…。
でも、本当だろうか。アイデアは確かに面白そうだけれど、それを実現するためのリソースは? パートナーは? どうやって顧客にアプローチする? そもそも誰が顧客なの?
BMCを使えば、ビジネスに最低限必要な要素を漏れなく記述できる。
BMCの作り方
BMCは以下のような要素で構成されている。でっかい紙に書き写して、それぞれの要素にポストイットを貼ってモデルを記述していくのが一般的。
By Business Model Alchemist [CC BY-SA 1.0 ], via Wikimedia Commons
各要素の具体的な内容は以下の通り。
Customer Segments (顧客セグメント):
定義: 企業が関わろうとする顧客の分類
例: オタク、主婦
Value Propositions (価値提案):
定義: 価値を生み出す製品とサービス
例: 手数料不要の決済サービス
Channels (チャネル):
定義: 顧客セグメントにどのようにリーチするか
例: 営業、ウェブ販売
Customer Relationships (顧客との関係):
定義: 顧客セグメントとどのような関係を結ぶのか
例: セルフサービス、コミュニティ
Revenue Streams (収益の流れ):
定義: どのような種類の売上を見込むか
例: 商品売上、ライセンス
Key Resources (リソース):
定義: 必要な資産
例: サーバー、店舗
Key Activities (主要活動):
定義: 必要な活動
例: 研究開発、製造
Key Partners (パートナー):
定義: サプライヤーとの関係や他企業とのアライアンス
例: CCC(Tsutaya Pointを使う)
Cost Structure (コスト構造):
定義: 何にお金がかかるか
例: 人件費、サーバー費用
全ての要素について、まずはベタベタとポストイットを貼っていく。そうすると、段々とアイデアがビジネスの体を成していく。
BMCができたら、他の人と共有しよう。BMCを見せながらアイデアを話せば、聞き手が深くビジネスモデルを理解してくれる。そして、自分では思いもよらなかった指摘やアドバイスをしてくれる。
BMCは一度作って終わりではない。ポストイットを足したり引いたりしながら、修正を重ねていく。結果、アイデアが洗練され、誰でもわかるビジネスモデルが出来上がっていく。
BMCを持ち運ぼう
筆者も会社を立ち上げる前に、BMCを作ってみた。
作ってみたものの、自宅に紙を貼っているため、人と共有し難いところが難点だった。
ので、ノートに書いて持ち歩くことを考えたが、付箋を貼って開けたり閉じたりすると付箋が剥がれそうだし、いちいち書き込んでしまうと、修正が面倒だ。
nu boardという持ち運びできるホワイトボードも考えたが、イマイチ使い勝手が分からない。
結局、パワポで作ることにした。
こんな感じだ。
お気づきかもしれないが、上のほうにリーンキャンパスと書いてある。そう、これはアッシュ・マウリャがBMCを改良して作った新しいキャンバスである。
顧客との関係、必要な資産、主要活動、パートナーの要素をなくして、代わりに課題、ソリューション、主要指標、圧倒的な優位性という要素が追加されている。ビジネスモデルでも顧客に関わるところに特化したのがリーンキャンバスと言える。
とはいえ、BMCのほうが有名だし、使い勝手は人それぞれだと思うので、BMCとリーンキャンバスのいずれか使いやすいほうを使えば良いと思う。
パワポファイルなら、ノートパソコンでいつでも開いて人と共有できるし、その場で手直しができる。プロジェクターで拡大し、プレゼンもできる。iPadでチラチラと見せながら打ち合わせすれば、イケてるベンチャー感をアピールできるかもしれない。(知らんけど)
【蛇足】
筆者のBMCもリーンキャンバスもコスト構造が空白であることに気づかれたかと思うが、その通り。
コストって、人件費しかなくない?、ていうか俺が3人分働けばコストいらねーじゃん(機会費用を除けば)、とか思っているので、空白にしているが、正直コスト管理できないベンチャーだと思われるので、いち早くコスト構造を綺麗に整理しなければなるまい。
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