トイレットペーパーに学ぶロジスティクス
イシゲスズコ(id:suminotiger)さんの以下の記事を読んだ。
「察する」だとか「察さない」だとか「あ…(察し)」だとかの前に、VERYが想定する"トイレットペーパーの補充"というタスクを軽視する旦那に唖然とする。
日用品に係るロジスティクスは人が生活するために最も重要なことの一つだ。食品を、掃除用品を、服飾品を、より安く、より早く、絶やさずに調達する。それは、あらゆる企業が日夜努力して築き上げるロジスティクスの縮図である。
イシゲさんがいう「トイレットペーパーの残量にあなたが気を遣わずに生活できているのはいつも自分が確認して補充しているからであって、生活全般にわたるそのような水面下での配慮に気づいて欲しいし、その負担をさりげなく分担したり肩代わりしたり(以下略」という、ロジスティクスを絶やさないための妻の努力を介さず、あろうことか銘柄の異なる(つまり普段使用している品目の非代替品である)トイレットペーパーを買ってくる旦那に対して、筆者は怒りを通り越して、呆れてしまう。
断言する。VERYが仮想する旦那に足りないのは奥さんへの愛情ではない。ビジネスセンスだ。ロジスティクスの重要さを知らない旦那が仕事などできるはずがない。愛情が枯れるより先に家庭の金庫が底をつく。
「イケダンゲット! 私は勝ち組!」とか思っていた女性は、比叡山の寺で滝にうたれて頭を冷やして旦那の整理解雇を検討したほうが良い。
それが嫌なら、休日に昼まで寝ている旦那をたたき起こして、ポーターの本を買って勉強させたほうがいい。
参考までに、日用品に係るロジスティクスの築きかたをまとめてみるので参考にされたし。
ステップ1: 調達対象品目を整理する
まずは家庭で使用する消費財を一覧化する。ここで、消費財を幾つかのカテゴリに分ける。大分類は食品、小分類が調味料、そして品目が塩、といった具合だ。
この時に、漏れなくダブり無く洗い出すことが大事だ。冷蔵庫に既にドレッシングが在庫されているにも関わらず、
「いつもとちゃう味試したいから買ってきたやで~(^o^)」
とか言ってCostcoで巨大な瓶のドレッシングを買ってくる旦那は、その瓶で頭をたたき割ったほうがいい。
併せて、標準購買単価と買い物先を決めておく。米ならLIFE、飴ちゃんならダイコク薬局といった具合だ。
「トイレットペーパー買ってきたやで~(^o^)」
とか言って近所のファミマで定価で買ってくる旦那は、汚物と一緒にトイレに流したほうがいい。
ステップ2: 発注方法を決定する
買い物の頻度を決めよう。大まかに、定量発注点方式と定期発注点方式がある。
定量発注点方式では、発注点(どの在庫量まで減少したら買い物するか)を決め、その発注点を下回った時に買い物をする。発注点を決めないと「たまたま安かったから」、「なんとなく在庫していたほうが安心だから」といった理由で在庫が増える。在庫が増えると家計のキャッシュと倉庫費用(棚のスペース)を圧迫する。
定期発注点方式は買い物のタイミングを固定化する。「毎週日曜日にポイントが3倍になる」、「夜の8時以降は刺身が半額になる」等、買い物のタイミングを固定化すると得をするケースは多い。
品目によって、定量発注点方式が適しているか定期発注点方式が適しているかは異なる。ステップ1で洗い出した品目毎に発注方式を決め、何を・いつ・どこで・どれだけ購入すればよいかの目安を立てる。まとめ買いで安価になる、ポイント還元率が良い等の調達戦略を練って、競争力の高いロジスティクスをつくることが大切だ。
とりあえず、旦那が毎日コンビニで買ってくるビールを即刻中止して、カクヤスで第三のビールをケース買いするところから始めよう。
3.在庫を把握する
発注点を下回っているかどうか判断するには在庫量を確認しなければならない。在庫を把握する方法にも二種類ある。
一つは継続記録法と呼ばれる方法で、消費の度にその出庫量を記録し、在庫変動を把握する方法である。リアルタイムで在庫を把握するための手段であり、多くの企業は何万・何十万という品目を継続記録して物的資産を管理している。
とはいえ、継続記録は労を要する。トイレットペーパーを使うたびに、"0.8mを消費、在庫は41.3m等"と記録するには手間がかかりすぎる。トイレで出るものも出ない。
もう一つは棚卸法と呼ばれる方法で、定期的に全ての品目の在庫量をチェックする方法だ。無論、品目によって在庫の減る量に差があるので、棚卸タイミングを一律同じにしなくてもよい。頻度の高い品目は毎週、低い品目は月1回、などと部分的に棚卸すればよい。
普段何もしない旦那には、エクセルで品目一覧を作らせて、家の中の消費財の在庫をチェックさせ、購買計画を立てさせよう。ビシバシ仕事を与えることが、旦那のキャリアにつながる。あなたの愛が旦那を育てるのだ。
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いかがだっただろうか。トイレットペーパーを補充できない旦那は、愛が足りないのではなく、ロジスティクスを知らないのだ。そしてロジスティクスも知らない旦那はきっと仕事もできないし、会社ではうだつが上がらないし、上司からは見切りをつけられ、後輩からは蔑まれ、出世はできず、給料も上がらず、子会社に出向して、そのままさして意味の無い役職について定年を迎えるのだ。
そんなVERYの旦那みたいにならないように、トイレットペーパーを補充できる男になろう。ポイント3倍の日に適切な値段で適切なトイレットペーパーを買えるよう、普段からロジスティクスに敏感になろう。
VERY風に言うなら、言葉よりそろそろ態度で示そう。
もっと端的に言うなら、てめーのケツを拭く紙はてめーで調達できるようになろう。