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マッサンゆかりの場所、芝川ビルに行ってきた

大阪の商人が集う町、船場。安土桃山時代から大阪の商いを担ってきた町には、江戸時代の町家、明治時代の煉瓦造の洋館、大正・昭和鉄筋コンクリート造りの近代建築などの数多くの歴史的建造物がある。


キタとミナミを結ぶ御堂筋から一本東へ、伏見町通と心斎橋筋の四つ角に、角の丸い変わった装いのビルがある。登録有形文化財にも指定されている芝川ビルである。著者の家からそう遠くないところにあるので、散歩がてら、中をのぞいてみた。


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芝川ビルはNHKの連続テレビ小説『マッサン』でおなじみのニッカウヰスキー設立時に株主総会を開催した場所である。2007年、ビル内の金庫を整理したところ、60年前に製造されたニッカのウィスキー1ダースが発見されたとか。芝川ビルを建てた芝川又四郎は、竹鶴政孝・リタ夫妻が暮らした帝塚山の家の大家をしていたこともあり、マッサンと縁深い場所なのである。


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そんな古い建物なのだが、カフェ・服屋・食器屋・特許事務所にアンティーク時計屋と、さまざまなテナントが軒を連ねる現役のビルだ。


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建物の中に入ると、メソアメリカ風の装飾が施された入口がお出迎え。蛍光灯に照らされた白とベージュの壁に深緑の重厚な扉が映える。学校の校舎のような、古い病院のような。廊下を歩いていると、ぐぐっと空気が重くなる。


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中に入っている店は、何れも、芝川ビルの昔からの内装を生かしつつ、現代風に装飾していて、巷のショッピングモールには無い、独特の雰囲気を醸し出している。何より、金子眼鏡のコンクリート剥き出しの無機質な雰囲気がとても良かった。


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地下1Fには『Mole』というカフェがある。窓がない、カウンターだけの小さな店で、コーヒーの豆を挽く音とJazzが流れる。白黒映画のような、レトロで、静かな空間で、美味しい珈琲が飲める。お立ち寄りの際はぜひ。


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マッサン効果もあってか、ビルには客があふれ、皆カメラや携帯電話で写真を撮っていた。自分が住んでいる町にたくさんの人が来るのは嬉しいものだ。


キタの再開発が進み、次々に新しい商業施設が建っている。新しく綺麗なビルも良いが、昔ながらのビルには、現代の建物には無い、人を魅了する美しさがある。


大阪のキタには豪奢なショッピングセンターが、ミナミにはこてこての繁華街があるが、その真ん中、船場には歴史ある町がある。大阪に立ち寄りの際はぜひ、芝川ビルをはじめとした歴史ある建物を巡ってほしい。


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