【2018年版】Eスポーツ入門
2018年2月の日本eスポーツ連合発足に伴い、数多くのメディアがEスポーツの話題を取り上げ、一般的な認知も向上している。
しかし、Eスポーツについて知ることは簡単ではない。Eスポーツをテーマにした書籍は数えるほどしかなく、専門メディアは個別タイトルの最新ニュースをとりあげるばかりである。情報の少なさを目のあたりにして、"Eスポーツを知りたい"という初学者は途方に暮れるだろう。
本記事は、"Eスポーツを知りたい"という初学者が俯瞰的にEスポーツを学ぶためのガイドである。情報を網羅的に記載するのではなく、リンクを記載するにとどめ、更なる調査・分析のためのソースを提供することを目的とする。
本記事を読み、Eスポーツを体系的に学んだ後、「個別タイトルについて詳しく調べる」、「所定サービス領域について深堀をする」といった道に進むことが望ましい。
【目次】
概要
Gzブレイン並びにNTTデータが作成した報告書がEスポーツ産業に関して最も包括的に情報をまとめた資料である。
以下の記事はEスポーツ産業の概要を知るために参考になる。
・「eスポーツってなに? スポーツがゲーム? プロゲーマーって何者?」──乙女ゲーマーが感じる“eスポーツの疑問“をプロゲーマーに直撃!
・RIZeSTが実施した,eスポーツをテーマにしたセッションの模様をお届け。日本のeスポーツの現状,そして将来の展望はどのようなものなのか
・「esportsしなさい」というパワーワードに対抗するカギは風呂にある【CEDEC 2018】
・日本のe-Sportsに危機を感じる。プロライセンスやオリンピックについて語られた,DeToNator江尻氏のトークイベントをレポート
選手・チーム
プロライセンスが発行されている選手・チームは日本eスポーツ連合ホームページにリスト化されている。
格闘ゲームの選手であれば以下が参考になる。
格闘ゲームを除いて日本では選手・チームのデータベースが存在しないため、海外のデータベースを参照することを勧める。
またストリーマーについては、TwitchやYouTubeの再生数を集計しているデータベースを参照できる。
国内外の選手・チームはTwitterで発信していることが多いため、Twitterが最もチーム・選手の検索に適したプラットフォームといえる。
以下、筆者が国内外のチームアカウントをリスト化している。随時更新しているので、こちらを参照頂きたい。
大会
大会で使用されるタイトルは50を超え、世界各地で大会が開かれているため、全てのEスポーツ大会をフォローすることは困難である。以下のメディアが精力的に大会情報・スケジュールを発信している。
海外ではThe Esports ObserverがEスポーツメディアとして、最も広範且つ深い情報を取り扱っている。毎週末に今週の出来事をまとめた"TEO Weekly"というまとめ記事がリリースされるので、メールマガジンを登録していると便利である。
データ
日本語では前述の調査研究報告書、または以下のソースを利用できる。
・ファミ通ゲーム白書2018
(有料)・eスポーツグローバルマーケットレポート2016
(有料)・NP Outlook
(有料)
海外については、最も頻繁に引用されるNewzooの各種レポートを含め、以下のようなソースを活用できる。
他にもモバイルゲームのデータを調べたいのであれば、国内であれば『App Ape』、海外であれば『App Anie』が定番である。
サービス
メディアのほかにEスポーツの各種サービスが勃興している。カテゴリ別に紹介する。
マッチング
プレイヤー同士で小規模大会を開くためのWEBプラットフォーム。海外では数多く運営されている。
その他
Eスポーツ関連のBtoC、BtoBサービスが次々に生まれてくることが予想される。以下はほんの一部である。
・Gamer Sensei
海外のゲーミング家庭教師派遣サービス・GamerCoarch
国内のゲーミング家庭教師派遣サービス・ggLeagp
Eスポーツセンター管理用システムサービス・Gamers Apparel
Eスポーツチームウェア制作サービス
団体
日本eスポーツ連合は一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会と一般社団法人日本オンラインゲーム協会(JOGA)の後援を受けて設立された日本のEスポーツ団体である。
自民党の河村建夫議員を会長として、100人近くの議員が参加するオンラインゲーム・eスポーツ議員連盟が発足している。
首都圏外では団体が次々に立ち上がり、地域のeスポーツ興行発展に向けた動きが加速している。以下の団体のほかにもタイトル別の団体・コミュニティが盛り上がりをみせている。
更なる探求のために
紹介したリンク集はEスポーツについて知るための一部の資料に過ぎない。ビジネス、学究、様々な目的でEスポーツを知るためには、WEB上の情報のみならず、チーム・選手・興行といった現場の人たちから情報を得ることが不可欠である。
また、Eスポーツを知るために最もてっとり早いのは、試合を観て、プレイすることである。Twitch、YouTubeといった動画配信サイトで試合を観戦し、気に入ったゲームについては、ゲームをダウンロードし、自らプレイしてEスポーツの楽しさを知ってもらえれば幸いである。
PUBG Corp. からNetEaseに対する訴状内容まとめ
2018年4月2日にPUBG.corpがNetEase社に対して訴訟をおこした。内容はNetEase社の『荒野行動』と『Rules of Survival』が『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(以下、PUBG)』に酷似しており著作権を侵害している、というもの。
これでPUBG Corp. vs. NetEaseというリアルバトルロワイヤルが始まるという展開である。
メディアの初出はTorrentFreakらしい。
で、PUBG.corpの代理人であるシドリー・オースティン LLPがカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所に提出した訴状は以下のようなもの。
https://torrentfreak.com/images/pubgneteasecomplaint.pdf
訴状は155ページくらいあるので、ざっくりと内容をまとめたみた。
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イントロダクション(1項~13項)
本訴状内容がどの法律に対するものかを記載。具体的には、
- 米国著作権法 (the United States Copyright Act of 1976)
- 米国商標法(United States Trademark Act of 1946)
- カルフォルニア州法並びにカルフォルニア州コモン・ロー
に対する侵害であることを述べている。
PUBG.corpの本社は韓国のソウルにあってアメリカ支社がカルフォルニア州のサンタモニカにある。NetEaseはケイマン諸島法人だが実質の本社機能は中国の北京にあり、子会社のNetEase Information Technology Corpがカリフォルニア州にある。なので、カリフォルニア州でのバトルとあいなった。
バックグラウンド(14項~20項)
『PUBG』がどのような経緯で作られて、どれだけのヒットを飛ばし、マルチプラットフォーム化に至ったかということが記載されている。
ちなみにここで、(たぶん)2018年3月時点でPC版が2800万本、Xbox版が400万本売れたと言及されている。Steam Spyが2月時点でPC版3000万本という数値を出していたが、もちろんPUBG.corpが出しているこっちの値が正。
『PUBG』の特徴 (21項~48項)
『PUBG』がどのような著作物であるかが詳細に記載されている。
「ゲーム開始前のロビー」、「飛行機からの飛び降り」、「マップ」、「UI」、「ゲームエリアの縮小」、「フライパン」、「Winner Winner Chicken Dinner(勝った!勝った!夕飯はドン勝だ!!)」などなど、『PUBG』のゲームの要素についてビジュアル付きで説明されている。
法律文書とは思えない攻略本みたいな内容。
単純に読み物として楽しい。
『Rules of Survival』と『PUBG』の類似点 (49項~80項)
で、『Rules of Survival』のゲームの要素がいかに21項から48項で語られた『PUBG』のものと酷似しているかが語られている。ロビーで始まり、輸送機で送られ、パラシュートで降りて、物資が空から降ってきて、フライパンで戦って…まあうん…すげぇ似てます(知ってた)。
『荒野行動』と『PUBG』の類似点 (81項~111項)
で、『荒野行動』のゲーム要素がどれだけ『PUBG』のものと酷似しているかっていうと、ロビーで始まり、輸送機で送られ、パラシュートで降りて、物資が空から降ってきて、「鍋の蓋」はフライパンと同じ調理具で似ていて…ってそれはええんちゃう?
訴訟前の請求 (112項~115項)
PUBG.corpは訴訟に至る前の2018年1月31日からAppleを通じて話著作権侵害であることをNetEaseに申し立てしていた。が、NetEaseはやんわりと否定してなんやかんやで運営をしていたんだが、2月にPUBG.corpが裁判しますんでと通達し、訴訟に至った。
侵害内容 (116項~139項)
『PUBG』と『Rules of Survival』並びに『荒野行動』が酷似していることは著作権の侵害であり、商標を模倣してビジネスを行っていることは商標法の侵害並びに不正競争に該当すると述べている。
求める判決 (140項~148項)
『Rules of Survival』並びに『荒野行動』の配信停止を求めているっていうのと、損害賠償について1タイトルにつき15万ドルづつ請求しているが、この数値は和解・トライアルの中でだいぶ変わってくると思われる。
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以上、まだ始まったばかりで、これからNetEaseによる答弁書が出されて、ディスカバリーがあって、和解交渉またはトライアル…となる。
この件で、PUBGにのっかったバトロワ方式の導入はEpic Gamesの『Fortnite』のが先なんだが、まあビジュアルが全然違うし、建築機能あるし…こっちは…ねえ?
2010年代の海外ドラマ革命と、映画、ゲーム。そして日本のオタクは有吉弘行をロールモデルにすべき
「FUZE」は今海外ドラマ推しらしい。矢継ぎ早に特集記事があがっている。
宇野維正さんの記事、Taku Takahashi×田中宗一郎両名の対談記事も楽しい。
映画好き、いわゆるシネフィルみたいな人はたくさんいるんだけどドラマに疎かったりする。『Game of Thrones』も『Stranger Things』もポップカルチャーの古典になりつつあるが、アメリカから遠く離れたジャパンでは『逃げるははじだが役に立つ』の1000分の1くらいしか観てる人がいないし、マーベル映画を追ってても、『Luke Cage』観てなかったり、なんとなく溝がある。
VODサービスの普及で“binge-watch(まとめて観る)”が当たり前になって、VODのオリジナルドラマも1シーズンが一気にアップロードされるようになると、ドラマは“めっちゃ長い映画”でしかなくなり、もはやドラマと映画を区別する必要もない。海外のオタクさんたちはドラマも映画も平等に愛する。
そしてもう一つ、忘れちゃいけないのが“ゲーム”なんである。
オタク向け総合情報サイト「IGN」の良く見られているカテゴリを見てみよう。
左から『Marvel's The Avengers: Infinity War(映画)』、『Fortnite(ゲーム)』、『Soulcalibur VI(ゲーム)』、『Shadow of the Tomb Raider(ゲーム)』、『Game of Thrones(ドラマ)』、『Attack on Titan 2(ゲーム)』。
いやまあ、IGNは元々はゲーム情報サイトであるが、映画好きはドラマ好きはゲーム好き。嗜好が全部一つの線の上にあるから、情報サイトが統合されている。
『デッドプール』のティム・ミラーが経営するVFX専門会社Blur Studioのワークを見てみよう。映画、ゲーム、コマーシャルが並んでいる。
要は、映画でもドラマでもゲームでもVFX技術は共通だし、同じコンテンツIP使ってたりするし、『ウォーキング・デッド』のノーマン・リーダスは小島秀夫の新作に出たりするし、そこに区別はない。短いと映画、長いとドラマ、自分で操作できればゲームぐらいの感覚で、海外オタクさんはこれら全てを平等に愛する。
一方ジャパンのオタクさんはこの三つのうち一つや二つかけていることが多い。今のポップカルチャーは、Nintendo Switchも『ゲースロ』も『Far Cry』の新作も『モンハン』も全部ひっくるめて、なんとなく一つのトレンドみたいなものを作ってるんだけど、そこに追いつけない。
オタクコンテンツに“~すべき”なんていうのもおこがましいんだが…なんていうか…こう…全部ひっくるめて楽しいんだわ!
「スターウォーズ新作公開されるけど、バトルフロントでみそついちゃったね~」
とかそういう感じで横断的に話したいじゃん!
「最近ゲームやってないからわかんないんだよね~」って言われると困るじゃん!
…そこで。
ジャパンのオタクさんが見習うべき人物のツイートをいくつか紹介したい。
予想通りRDRにハマってしまった。酒なんか一滴も飲まない!牛を追ったり、お尋ね者を捕まえまくる生活にチェンジ!
— 有吉弘行 (@ariyoshihiroiki) 2010年10月16日
「レッド・デッド・リデンプション」にはまる有吉さん。
今更ながら、ずーっとフォールアウト4 やってる。ずーっとイージーで。。。
— 有吉弘行 (@ariyoshihiroiki) 2017年2月2日
ベセスダにもはまる有吉さん。
七月はドラクエ11も出るし、ゲームオブスローンズもあるし最高!
— 有吉弘行 (@ariyoshihiroiki) 2017年6月21日
それに比べて最低だと思っていた六月も、HUNTER×HUNTER復活で最高!
毎月最高!!
JRPGと海外ドラマとマンガと、縦横無尽に駆け回る有吉さん。
イカばっかり
— 有吉弘行 (@ariyoshihiroiki) 2017年12月2日
寝よう。。。 pic.twitter.com/VgAWpN92f9
癒し系スマホゲームも抑える有吉さん。
…この人、くっそ忙しい芸能生活やりながら、どうやって時間捻出しとるんや…。
ジャパンのオタクさんは有吉さんくらいジャンルを超えてオタクコンテンツを堪能すべき。
あー、今週もサンドリ聞こ。