読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

大阪でベンチャーやってます

ベンチャー/スタートアップ(と時々趣味)に関する記事を書くブログ

これからのクラウドファンディングサービスの競争優位とは何か

ビジネス ファイナンス クラウドファンディング

red dawnflic.krphoto by John Welsh


また新しいクラウドファンディングサービスがローンチされた。『Wannabee』という関西発のクラウドファンディングサイトで、サブカルチャー(並びにオタクカルチャー)にフォーカスしたプロジェクトを掲載する。本格的なリリースはこれからで、現在はティザーサイトを公開している。


クラウドファンディング業界は隆盛を極めている。Makuake』、『Campfire』、『READYFOR』といった大手サービスはユーザー基盤を固めつつあり、それに続けと中堅・新規のサイトが攻勢をかけている。世間の注目の高まりに便乗し拡大していくサービスがある一方、充分なユーザーを確保できず、消えていくサービスも数多い。


参入障壁が少なく、ローンチに係る費用も少ないため、参入企業は後を絶たない。業界は半ばレッドオーシャンと化している。この真っ赤な染まった海を生き残るには、各企業は様々な競争優位を形成していかなければならないだろう。筆者が考える競争優位は以下の通りだ。

ジャンル特化


『Makuake』・『Campfire』といった大手サイトは様々なジャンルのプロジェクトを取り扱っている。時間と共に掲載されやすいプロジェクトの傾向が出てきているとはいえ、募集の間口は広い。


新規参入するサービスが大手を真似て様々なジャンルのプロジェクトを取り扱うと、リピーターのユーザーが集まらず、サービスが定着しない(特定のプロジェクトが話題になっても一過性で終わる)可能性がある。


今後、冒頭で紹介した『Wannabee』のようにあるジャンルに特化したサービスが増えてくることが予想される。コンテンツ系で言えば『GREEN FUNDING』があるし、地域密着プロジェクトに特化した『FAAVO』といったサービスもある。これから、まだ切り開かれていないジャンルに特化したサービスが出てくることが予想される。例えば、予算取りが難しい基礎研究の分野に特化したクラウドファンディングがあれば面白いと思うのだが、どうだろうか。

融資単位の細分化


現在のプロジェクトの主流はイベント開催やコンテンツ作品、プロトタイプ製作といった大きな単位での融資だ。


今後、この融資単位は細分化されていくと筆者は考える。これはクラウドファンディングを利用した詐欺の防止の意味合いが大きい。


クラウドファンディング各社のプロジェクト説明ページには、融資金の用途が事細かに記載されている。とはいえ、目標額達成後、振込された資金が実際にプロジェクト説明ページの用途で使用されたかをチェックする術は乏しい。株式による融資であれば有価証券報告書を作成し、事業の詳細を株主に説明する義務があるが、クラウドファンディングで調達した資金について開示義務は発生しない。


融資単位を細かくすることで、用途が明確化されるとともに、資金調達者に対する報告をお願いしやすい。『●●映画を製作するための費用』ではなく、『●●映画を製作する際の主演男優・女優の契約料』とあれば、確認しやすい。

投資型への参入


世界で最も成功しているクラウドファンディングサービスはアメリカの『Lending Club』であり、昨年12月末時点で7,400億ドルを募集している。所謂投資型のクラウドファンディングで、日本でも『Crowd Bank』が不動産、中小企業支援、新興国支援といったローンファンドを扱っており、30億円近くの資金を調達した。


紛れもなく、今後参入企業が増え、業界自体を牽引していくのは投資型のクラウドファンディングだろう。『応援したい』というファン意識に依存した寄付型・購入型では、利用者は限られていたかもしれないが、マネーでのリターンが見込まれる、更には(リスクがあるとはいえ)利回りも大きいとならば、ユーザー基盤は一気に広がることが見込まれる。


まだ手を付けている企業が少なく、先行者利益を取ることができれば、サービス規模の拡大が期待できる。今後、投資型クラウドファンディングサービスのローンチに注目したい。


###


クラウドファンディングの業界は、大手がユーザー基盤を築き始めているとはいえ、これらの大手も『Kickstarter』といった海外サービスに比べれば調達金額は少ない。競争優位を形成できれば、参入できる余地はまだまだ大きい。


また、『貯蓄から投資へ』というの国のスローガンも後押しし、業界自体が拡大している。


本記事でとりあげた競争優位を持った企業のサービスが、果たしてどれほど市場で存在感を示せるだろうか。


それとも、今までにない全く新しい競争優位を持ったサービスが市場を席巻するのだろうか。


真っ赤に染まった海を行くこれからのクラウドファンディングサービスのかじ取りは困難を極めるだろう。