けつまつける

ゲーム、映画、ときどき文芸

甦れ、コンテンツファンド

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Makuake・CAMPFIRE・READYFOR等、クラウドファンディングサイトが活気を帯びてきた。プロジェクトの達成額が100万円を超えるものも増え、多様でおもしろいプロジェクトにマネーが流れるようになってきた。


折しも、昨年5月に改正金商法が成立し、未上場でも1億円を上限に、ネット上で公募増資ができるようになった。現在でもグリーンシート銘柄と呼ばれる未上場株を取引きできる枠組はあるが、制約が多く、殆ど利用されていない状況だ。日本経済のイノベーションを促進すべく、全く新しい枠組みを国が用意した形になる。当該改正金商法は今年中に施行される見込みだ。



動き出す「投資型クラウドファンディング」 | FUTURUS | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト


上述のMakuakeやCAMPFIREは購入型と呼ばれるクラウドファンディングで、投資した見返りに物品やサービスを受領できる。プロジェクトを応援したいという思いに加えて、その見返りを期待して、投資家はマネーを投じる。新しい製品であればそのサンプル、ライブであればそのチケット、アイドルであればそのサイン色紙など。消費者は、買い物をするように、まだ市場に出回っていない商品を手にすることができる。


買い物であるから、そこまで大きな資金は投入できない。1プロジェクト数千円から数万円といった範囲で、さまざまなプロジェクトに投資する形が一般的である。


例えば映画『カニを喰べる。』のプロジェクトはMakuakeを通じて120万円を調達している。むろんこのぐらいの金額では映画は制作できない。調達した資金は映画の宣伝(映画の上映素材、宣伝に必要なチラシ、ポスター、前売り券などの作成)に使用されたようだ。



映画『カニを喰べる。』を劇場公開させよう!応援プロジェクト | クラウドファンディング - Makuake(マクアケ)

コンテンツファンド


映画を制作するには何億・何十億と要することもある。これらの資金がどうやって集められるかというと、制作委員会と呼ばれる配給・興行・グッズ販売等に関わる企業が共同で出資する方式が取られることが多い。


しかし、制作委員会方式のように映画ビジネスのプロではなく、一般投資家から資金を調達した例が過去にあった。シネカノン社が映画ファンドを組成して資金を調達し、映画『フラガール』を制作した例である。ジャパンデジタルコンテンツ信託(JDC)と共に、シネカノンが制作する複数の映画を知的財産物信託し、その儲けを配当として分配する投資スキームを構築し、証券会社を通じて一般投資家から45億もの資金を調達した。


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コンテンツファンドというと、アニメ『バジリスク』のファンドや、ゲームファンドに分類されるものではあるが、『ハヤテのごとく』の綾崎ハヤテ君が失言をしたことで有名なときメモファンドがある。


いずれも、コンテンツにマネーを供給する大きな可能性があった試みであったが、大きな花は咲かなかった。ときめもファンドは手数料を超える大きな配当をねん出できなかったし、シネカノン社はフラガール以後ヒット作に恵まれず倒産してしまい、加えて投資スキームを描いたJDCは不正が発覚して業務停止に陥った。


失敗、とまではいかないが、これらのファンドは大きな潮流を作るきっかけにはならなかったのである。

リスクマネーの供給者としての個人


クラウドファンディングサイトのコンテンツに関連するプロジェクトは、額はまだ小さいが、コンテンツファンドの再来といえる。間接金融から直接金融への流れはコンテンツ産業にもマネーをもたらしつつある。


購入型のクラウドファンディングに続いて、今回の改正金商法を経て、金融商品を取り扱う投資型クラウドファンディングが一般的になれば、コンテンツ産業の未来は明るい。日本の市場規模は100億に満たないが、世界では5,000億である。


コンテンツはリスク産業だ。いや、どんな産業にもリスクはあるが、コンテンツほど"当たるか当たらんかわからん"ものもない。大ヒット作のシリーズ物とて、例外ではない。


制作委員会方式というのは、このリスクを分散するために開発されたものだ。そもそも最も大きな資金の出し手である銀行は、リスクが大きいプロジェクトには投資できない。そこで、複数の関係会社がリスクを分散して映画を制作するために組合を組成するというスキームが大きな役割を果たしてきた。


これを何百・何千の個人に分散させることができれば、コンテンツというリスクの大きな産業にもマネーがもたらされる。その媒介となるのがクラウドファンディングだ。


コンテンツファンドは、もう一度、インターネット社会で甦る。そして、コンテンツ産業のマネー事情を一変すると、著者は信じている。