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ゲーム業界をマーケティング視点で読み解く

PUBG Corp. からNetEaseに対する訴状内容まとめ

PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS - XboxOne


 2018年4月2日にPUBG.corpがNetEase社に対して訴訟をおこした。内容はNetEase社の『荒野行動』と『Rules of Survival』が『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(以下、PUBG)』に酷似しており著作権を侵害している、というもの。


 これでPUBG Corp. vs. NetEaseというリアルバトルロワイヤルが始まるという展開である。


 メディアの初出はTorrentFreakらしい。


torrentfreak.com


 で、PUBG.corpの代理人であるシドリー・オースティン LLPがカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所に提出した訴状は以下のようなもの。


https://torrentfreak.com/images/pubgneteasecomplaint.pdf


 訴状は155ページくらいあるので、ざっくりと内容をまとめたみた。


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イントロダクション(1項~13項)


 本訴状内容がどの法律に対するものかを記載。具体的には、

 

  1. 米国著作権法 (the United States Copyright Act of 1976)
  2. 米国商標法(United States Trademark Act of 1946)
  3. カルフォルニア州法並びにカルフォルニア州コモン・ロー


 に対する侵害であることを述べている。

 PUBG.corpの本社は韓国のソウルにあってアメリカ支社がカルフォルニア州のサンタモニカにある。NetEaseはケイマン諸島法人だが実質の本社機能は中国の北京にあり、子会社のNetEase Information Technology Corpがカリフォルニア州にある。なので、カリフォルニア州でのバトルとあいなった。


バックグラウンド(14項~20項)


 『PUBG』がどのような経緯で作られて、どれだけのヒットを飛ばし、マルチプラットフォーム化に至ったかということが記載されている。


 ちなみにここで、(たぶん)2018年3月時点でPC版が2800万本、Xbox版が400万本売れたと言及されている。Steam Spyが2月時点でPC版3000万本という数値を出していたが、もちろんPUBG.corpが出しているこっちの値が正。


『PUBG』の特徴 (21項~48項)


 『PUBG』がどのような著作物であるかが詳細に記載されている。


 「ゲーム開始前のロビー」、「飛行機からの飛び降り」、「マップ」、「UI」、「ゲームエリアの縮小」、「フライパン」、「Winner Winner Chicken Dinner(勝った!勝った!夕飯はドン勝だ!!)」などなど、『PUBG』のゲームの要素についてビジュアル付きで説明されている。


 法律文書とは思えない攻略本みたいな内容。


 単純に読み物として楽しい。


『Rules of Survival』と『PUBG』の類似点 (49項~80項)


 で、『Rules of Survival』のゲームの要素がいかに21項から48項で語られた『PUBG』のものと酷似しているかが語られている。ロビーで始まり、輸送機で送られ、パラシュートで降りて、物資が空から降ってきて、フライパンで戦って…まあうん…すげぇ似てます(知ってた)


『荒野行動』と『PUBG』の類似点 (81項~111項)


 で、『荒野行動』のゲーム要素がどれだけ『PUBG』のものと酷似しているかっていうと、ロビーで始まり、輸送機で送られ、パラシュートで降りて、物資が空から降ってきて、「鍋の蓋」はフライパンと同じ調理具で似ていて…ってそれはええんちゃう?


訴訟前の請求 (112項~115項)


 PUBG.corpは訴訟に至る前の2018年1月31日からAppleを通じて話著作権侵害であることをNetEaseに申し立てしていた。が、NetEaseはやんわりと否定してなんやかんやで運営をしていたんだが、2月にPUBG.corpが裁判しますんでと通達し、訴訟に至った。


侵害内容 (116項~139項)


 『PUBG』と『Rules of Survival』並びに『荒野行動』が酷似していることは著作権の侵害であり、商標を模倣してビジネスを行っていることは商標法の侵害並びに不正競争に該当すると述べている。


求める判決 (140項~148項)


 『Rules of Survival』並びに『荒野行動』の配信停止を求めているっていうのと、損害賠償について1タイトルにつき15万ドルづつ請求しているが、この数値は和解・トライアルの中でだいぶ変わってくると思われる。


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 以上、まだ始まったばかりで、これからNetEaseによる答弁書が出されて、ディスカバリーがあって、和解交渉またはトライアル…となる。


 この件で、PUBGにのっかったバトロワ方式の導入はEpic Gamesの『Fortnite』のが先なんだが、まあビジュアルが全然違うし、建築機能あるし…こっちは…ねえ?

2010年代の海外ドラマ革命と、映画、ゲーム。そして日本のオタクは有吉弘行をロールモデルにすべき

 「FUZE」は今海外ドラマ推しらしい。矢継ぎ早に特集記事があがっている。


www.fuze.dj


 宇野維正さんの記事、Taku Takahashi×田中宗一郎両名の対談記事も楽しい。


 映画好き、いわゆるシネフィルみたいな人はたくさんいるんだけどドラマに疎かったりする。『Game of Thrones』も『Stranger Things』もポップカルチャーの古典になりつつあるが、アメリカから遠く離れたジャパンでは『逃げるははじだが役に立つ』の1000分の1くらいしか観てる人がいないし、マーベル映画を追ってても、『Luke Cage』観てなかったり、なんとなく溝がある。


 VODサービスの普及で“binge-watch(まとめて観る)”が当たり前になって、VODのオリジナルドラマも1シーズンが一気にアップロードされるようになると、ドラマは“めっちゃ長い映画”でしかなくなり、もはやドラマと映画を区別する必要もない。海外のオタクさんたちはドラマも映画も平等に愛する。


 そしてもう一つ、忘れちゃいけないのが“ゲーム”なんである。


 オタク向け総合情報サイト「IGN」の良く見られているカテゴリを見てみよう。


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 左から『Marvel's The Avengers: Infinity War(映画)』、『Fortnite(ゲーム)』、『Soulcalibur VI(ゲーム)』、『Shadow of the Tomb Raider(ゲーム)』、『Game of Thrones(ドラマ)』、『Attack on Titan 2(ゲーム)』。


 いやまあ、IGNは元々はゲーム情報サイトであるが、映画好きはドラマ好きはゲーム好き。嗜好が全部一つの線の上にあるから、情報サイトが統合されている。


 『デッドプール』のティム・ミラーが経営するVFX専門会社Blur Studioのワークを見てみよう。映画、ゲーム、コマーシャルが並んでいる。


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 要は、映画でもドラマでもゲームでもVFX技術は共通だし、同じコンテンツIP使ってたりするし、『ウォーキング・デッド』のノーマン・リーダス小島秀夫の新作に出たりするし、そこに区別はない。短いと映画、長いとドラマ、自分で操作できればゲームぐらいの感覚で、海外オタクさんはこれら全てを平等に愛する。


 一方ジャパンのオタクさんはこの三つのうち一つや二つかけていることが多い。今のポップカルチャーは、Nintendo Switchも『ゲースロ』も『Far Cry』の新作も『モンハン』も全部ひっくるめて、なんとなく一つのトレンドみたいなものを作ってるんだけど、そこに追いつけない。


 オタクコンテンツに“~すべき”なんていうのもおこがましいんだが…なんていうか…こう…全部ひっくるめて楽しいんだわ!


 「スターウォーズ新作公開されるけど、バトルフロントでみそついちゃったね~」


 とかそういう感じで横断的に話したいじゃん!


 「最近ゲームやってないからわかんないんだよね~」って言われると困るじゃん!


 …そこで。

 
 ジャパンのオタクさんが見習うべき人物のツイートをいくつか紹介したい。



 「レッド・デッド・リデンプション」にはまる有吉さん。



 ベセスダにもはまる有吉さん。



 JRPGと海外ドラマとマンガと、縦横無尽に駆け回る有吉さん。



 癒し系スマホゲームも抑える有吉さん。


 …この人、くっそ忙しい芸能生活やりながら、どうやって時間捻出しとるんや…。


 ジャパンのオタクさんは有吉さんくらいジャンルを超えてオタクコンテンツを堪能すべき。


 あー、今週もサンドリ聞こ。

いわゆる「eスポーツはスポーツなのか?」問題について

London 2012 Olympic Games
Photo by Alistair Ross


 eスポーツを「スポーツ」と冠すると反感を持つ一般視聴者が一定数存在するらしい。フィジカル要素の少ない競技を「スポーツ」と呼ぶことに違和感を覚えるようだ。


www.j-cast.com


 以下、引用記事のコメントの孫引き。

「汗水流して努力しているアスリートと同じとは思えない」
「ゲーム依存の問題深刻になってますよね!(その問題が)増えるだけ!!」
「ゲームばっかりやっていてはコミュニケーション能力育たないのでは?」


 本題に行く前に、いやいや朝から晩まで野球の練習に没頭する子たちに依存症って言うか?とかゲーマーのヘッドセットって何のためにあるか知ってる?とか言いたいことは色々あるが、「汗水たらしていない」という発言について思うところは多い。


 そもそも汗水流さないスポーツなんてごまんとある。


 カーリングは戦略性と集中力と細かな動作が求められる競技だが、雪上競技のような強靭な「フィジカルな要素」が求められるかといえばそうではない。フィギュアスケートとスピードスケートは同じ氷上競技だが求められる「フィジカルな要素」は全く違う。ボブスレーは己の「フィジカルな要素」だけでなくそりの性能まで問われるスポーツである。


 スポーツに求められる一律な「フィジカルな要素」なんてものはない。道具を使うもの、芸術点を競うもの、自然を味方につけるもの、色々なスポーツがある。あらゆるスポーツに共通なことは「一定のルールのもとに競う」ことぐらいである。

 
 eスポーツが「汗水たらしていない」というのなら、「Dance Dance Revolution」ならスポーツとして認められるのだろうか。Kinectで全身を使うようなゲームタイトルならスポーツに認められるのだろうか。


 そもそも、障害者スポーツは義手・義足・車いすといった己の肉体以外のものを装着して競技を行うが、それもスポーツとして認められないのだろうか。


 武豊は「汗水流している」馬に乗っかっているだけだから、アスリートとは認められないのだろうか。


 ダーツは? ボーリングは?


 「フィジカルな要素」によってスポーツの定義を決めるというは恐ろしく不毛だし、心の底からどうでもいい


 身体を鍛え、頭を使い、自然を味方につけ、より早く、より強く、より美しく、より正確に。あらゆる要素がスポーツに含まれるだろう。


 平昌オリンピックにあわせて、史上初となる五輪公認のeスポーツ大会が開催された。使用されたタイトルは「スタークラフト2」。


 男女混合、全世界の頂点を決める大会で優勝したサーシャ・ホースティン(ゲームID:Scarlett)はカナダ出身の女性である。


 スウェーデンの「Counter Strike」のチーム「シルバー・スナイパーズ」はメンバー全員60歳以上だ。デビュー戦のDreamhackでは1試合で勝利を収めた。


 ゲームは人種も性別も年齢も越えて、誰でもプレイできる。身体に障害があっても、年齢を重ねても、皆が同じルールでプレイできる。ばあちゃんと父親と娘がスプラトゥーンで対戦してもいい。


 「フィジカルな要素」が限定されるからこそ、eスポーツはどんなスポーツよりも“平等”であり、だからこそ全世界でみんなが熱中しているのだ。